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ホームイベントBBLセミナー2003年度 大統領選挙と今後のアメリカの外交・安保政策 印刷 開催日 2004年3月29日 スピーカー 渡部 恒雄 (CSIS戦略国際問題研究所上級研究員) モデレータ 中林 美恵子 (RIETI研究員) 議事録 白熱する大統領選本日は全般的な大統領選挙の動向と米国の外交安保政策がどうなるかについてお話しさせて頂きます。私は、基本的に日米関係ウォッチャーであり専門が安保のため、安保関係のトピック、特にワシントンの話を中心にしたいと思います。ワシントンで最近話題の本に、リチャード・クラーク氏著作の"Against All Enemies"という書籍があります。現在、ワシントンの大手書店の店頭では3割引で売り出されていて、あっという間に売り切れてしまい、DNC(Democratic National Convention)つまり、民主党から補助金が出ているのではないかというジョークが出るくらい、民主党の選挙運動の1つとして見なされています。大統領選挙の11月まで、まだ7カ月以上あるというのに、すでに本番間近のような熱い戦いになっています。なぜ、ケリー候補が勝ったのでしょうか。私は、エレクタビリティー、つまり選挙に勝てる候補であるという要因が強かったのだと思います。このきっかけというのは、最初のアイオワ、ニューハンプシャーという小さくてFace to Faceのコミュニケーションでアピールできる地域で、ケリーが経験豊富・頼れるという人物像を演出できたことにあると思います。ベトナム戦争での戦歴と勲章、そして、その後のベトナム反戦運動をしたことを含めてのケリー候補の人格が1つの鍵になったと思います。予備選では、共和党の支持者でありながら、戦時中にケリー候補の英雄的行為で命が助かった人からの演説が相当なインパクトがあったと現地にいた人から聞きました。 ブッシュ大統領の支持率アメリカは、ブッシュ支持とブッシュ嫌いの真二つに分かれていて、それが接戦の原因になるだろうと一般的にいわれてきました。それを裏付けるかのような結果が今年初めの世論調査で出ています。この調査の結果で興味深いのは、ブッシュ大統領を応援する人達がいかに共和党に多く、いかに民主党に少ないかということです。この結果を過去のケース、つまり現職大統領が再選に向けて候補になったときの世論調査と比較をしてみます。ギャラップのホームページに掲載されている数字ですが、今回の調査では、共和党支持者の91%がブッシュ大統領を支持し、民主党支持者では17%だけが支持しています。たとえば、クリントン前大統領の96年の再選挙では、クリントン支持は、民主党支持者の79%に比べて、共和党支持者は23%でした。ブッシュ大統領の父が92年にクリントン前大統領に破れた時には、共和党支持者が67%、それに対して民主党支持者は17%。さらに、レーガン元大統領が84年の選挙で再選した時には、共和党内から87%の支持、民主党内からは32%支持を受けていました。これらの比較から、現ブッシュ大統領が、共和党からいかに堅い支持を受けており、民主党からは非常に弱い支持を受けているかがわかると思います。これほど民主党支持者に嫌われている共和党の現職候補も珍しく、これにはいろいろな要素があると思います。そもそも前回の選挙では、フロリダで民主党と共和党のどちらが勝ったのかわからないことから、民主党内にわだかまりがありました。そのようにすっきりしていなかったところに、9月11日のテロが起こり、ブッシュ大統領のテロ後の対応が良かったことから、当時は民主党側からの支持もありました。しかし、ブッシュ側は今回の選挙が接戦になるのを予想し、接戦になったときに中道にウイングを広げるより、自分の懐の保守派を固める方向にシフトしてきました。そのため、たとえば、同性愛者の結婚を認めないことを憲法に織り込むという保守的なことを提言しています。これは、民主党側を分裂させる作戦でもあり、且つ共和党の保守派を固めるという作戦でもあります。大型減税も民主党支持者に好まれない政策です。このような保守的な方向性に、民主党の特にリベラル派は、納得がいかないため、ブッシュ大統領を支持しなくなっていくという現象が起きていると思われます。 今後の大統領選の動きそれでは、今後、どのような選挙戦が予想されるのでしょうか。当然、接戦になることが予測されます。これは、現時点で支持がはっきり分かれており、且つ、ブッシュ大統領の政策が嫌いなのではなくブッシュ大統領自身が嫌いだから支持しないという国民が共和党不支持になっているためです。そして、これを予測するのは難しいところですが、どのような接戦になるのでしょうか。まず、メディアを使った空中戦の泥試合が続いていくといわれています。これには過去の大統領選挙の経緯から、それをしないと勝てないと両陣営が考えているからです。1988年ブッシュ(父)大統領対デュカキス氏、92年ブッシュ(父)大統領の負けた選挙であるブッシュ対クリントン戦、この辺りの戦い方が双方の党に影響を与えていると考えられます。まず、88年の大統領選挙ですが、5月の時点での世論調査をみると、デュカキス氏は10ポイント以上の差をつけて、圧倒的優位に立っていました。ところが、この時にブッシュ側はメディアを使って対デュカキス・ネガティブキャンペーンを行い、デュカキス氏のリベラルな姿勢を悪いイメージ、つまり「国防、治安に無責任である」、「財政規律が甘い」などで定着させ、ブッシュ(父)大統領は逆転勝利を収めました。この時に、デュカキス氏が自らのリベラルさを肯定し、対抗のキャンペーンを打たなかったことが敗因であるといえます。この様子を見ていた民主党側のクリントン前大統領は、92年の選挙時に、先制攻撃として当時のブッシュ政権の経済政策が問題であるというネガティブキャンペーンを徹底的に行いました。実際の経済政策的には、ブッシュ元大統領の行った経済政策は悪くなく、間違っていたわけではないのですが、「クリントンは経済政策に前向きで、ブッシュは失敗した」というイメージを作り出し、結果、クリントン前大統領が勝ったわけです。この両方のキャンペーンを息子の現ブッシュ大統領もデュカキス氏のマサチューセッツ州知事時代の副知事のケリー氏も、よく見ていたに違いありません。ケリー氏は予備選まで本命ではなかったこともあり、一般的なアメリカ人にとってケリー氏のイメージは白紙です。そのため、今年の選挙では、ブッシュ大統領は先手必勝で、ケリー氏のネガティブなイメージを国民に植え付けるなら、今とばかりにネガティブキャンペーンを繰り広げております。同様に、ケリー側もデュカキス氏の選挙経験から、後手後手に回ると挽回できないことを考え、ブッシュ政権の批判を執拗に繰り返しています。自分のイメージを作るまえに相手側のネガティブなイメージを作ることをスタートさせています。ケリー氏とブッシュ大統領の相違点の1つに、ケリー氏は長い間上議院議員でしたが、ブッシュ大統領は議員ではなかったという点があります。議会経験が長いと記録が残っていますし、日本同様、議会は駆け引きの要素が強いため、投票パターンに一貫性を持たせるのは難しく、意外に相手に足を引っ張られる要素が多いのです。特にケリー氏の場合は、外交委員会に所属にし、外交問題に貢献してはいるのですが、投票パターンに一貫性がありません。これらのことから、ケリー氏にとっては自分のイメージを作るのが先決だと考えます。この大統領選が接戦になるということは、州取りゲームの様相が強くなるといえます。前回のゴア氏とブッシュ大統領の選挙では、ゴア氏の方がアメリカ全国での投票数を上回っています。しかし、アメリカの大統領選挙は選挙人団制(Electoral College System、注・全国の投票数の合計で勝敗を決する直接選挙ではなく、各州ごとの開票結果により選挙人を獲得し、その合計数で勝敗が決まる)であり、より多くの州を制したブッシュ大統領が勝ちました。このような制度では、どこの州をどうとるかという戦略が大変重要になってきます。今回の選挙で接戦になると思われる州は18州あります。前回の選挙でのブッシュ対ゴアの得票差が少ない順番から述べていきますと、フロリダ、ニューメキシコ、ウィスコンシン、アイオワ、オレゴン、ニューハンプシャー、ミネソタ、ミズーリ、ネバダ、オハイオ、テネシー、ペンシルバニア、メイン、ミシガン、アーカンソー、ワシントン、アリゾナ、ウエストバージニアとなっています。この中で、ウエストバージニア、ペンシルバニアなどの伝統的なスウィングステートは、製造業の多い州であり、選挙の時に常に焦点になる州でもあります。もう1つの焦点の州は、フロリダ、アーカンソー、テネシーなどの南部諸州です。前回の選挙でゴア氏は南部で全敗しております。しかもアーカンソーとテネシーでも勝っていません。ゴア氏はテネシー出身の上議院議員ですし、アーカンソーはクリントン前大統領の地元です。やはり地元を落とすのは選挙戦術としては拙かったようです。今回ケリー氏が勝つためにも、南部で勝つことがキーになってきます。そこで、今後の副大統領候補選びが関わってきます。過去の例を見ても、副大統領選びにはいろいろな要素が絡んできました。しかし、今回の選挙についてはバトルグラウンドが多くて18州と決まっているため、副大統領候補を誰にするのか1つでも、重要な戦略となります。たとえば、民主党にとって、前回、全敗した南部で勝てる候補といった要素は重要です。そこで、南部のノースカロライナ選出上院議員のジョン・エドワーズ氏の名前があがります。予備選挙でもケリー氏に続いての人気があり、ケリー氏の落ち着いた、悪くいえば暗いイメージに比べて、エドワーズ氏は若作りで明るく、南部でも票が取れるというイメージがあります。ボブ・グラハム氏も名前が挙がっていますが、これは、フロリダ出身の上議院議員だからです。 前職・現職閣僚を巻き込んだ選挙戦これだけ早い時期に激しい選挙戦が繰り広げられていますが、アメリカの歴史上今だかつてない早い展開の激しい選挙活動が繰り広げられています。それは、選挙の半年以上も前にもかかわらず、現職の閣僚を巻き込んで両陣営の非難合戦が始まっているということです。例を挙げますと、ケリー氏は先週、ジョージワシントン大学でキャンペーンを行いましたが、この時に壇上に集められたのは、クリントン政権時代のペリー国防長官、オルブライト国務長官などで、そこでブッシュ政権の外交政策の批判が繰り広げられました。ペリー氏は、北朝鮮問題では、ペリープロセスとして知られる超党派のコーディネータを務めたこともあり、安保専門家の間では本当に尊敬されている人です。そして、あまり党派的なコメントをする人ではないのですが、「ブッシュ政権の傲慢な外交政策をほっておけなくて参加した」と発言したとワシントンポスト紙に掲載されていました。アメリカの北朝鮮政策を見ている人だったら分かると思いますが、ブッシュ政権の中でもそれなりに不協和音があります。現在、アメリカ側で北朝鮮政策を直接担当しているのは、ジェイムズ・ケリーという東アジア太平洋担当国務次官補です。ワシントンの専門家の嘆きとして、北朝鮮に対してジェイムズ・ケリー氏が思い切った外交をしようとしても、ホワイトハウスやボルトン国務次官などのネオコンやタカ派が邪魔をしていて自由にやらせていないという不満があります。このような背景を考えた時、ペリー氏の参加も理解出来る気がします。このジョージワシントン大学のキャンペーンでもう1つ目をひいたことがあります。それは、ケリー候補が最近外国の指導者に会い、その人物はブッシュ大統領の再選を望んでいない、ケリーの当選を望んでいる、といったことです。本来ならば、選挙にこのような直接の外交に関わる話を持ち込むのは禁じ手であり、普通はあまりこのような発言はされません。これに対して、ブッシュ政権側からパウエル国務長官が「そういう話をするのだったら実名を出すべきであり、出さないのなら、そんな話はするべきではない」といった批判をしました。パウエル国務長官もあまり党派的に動く人ではなく、もともと、共和党でも民主党でも大統領候補として立候補できるといわれているような人です。つまり、そのようなパウエル国務長官も参加せざるを得ないほど、現職閣僚を巻き込んでの批判が続いているということです。これらのキャンペーンには、現職閣僚の中でも元国務長官、元国防長官など、安保外交分野の官僚が主に絡んでいます。最初にお話ししましたクラーク氏の本はそれほどひどい暴露本ではありません。過去の政権がいかにテロに向かい合ってきたかということについて現場の目から書かれている本です。クラーク氏のような専門家にすれば、テロというのは2001年9月11日以前のアメリカにとっても、大変な脅威であり、クリントン政権も一生懸命取り組んできた。しかし、それを受けたブッシュ政権は十分にテロの脅威を認識していたのだろうか、そして、イラク戦争を始めてしまったが、この戦争というのは、対テロ戦争には直接役に立たなかった無駄な戦争だったのではないかということが彼の問題意識なのでしょう。もう1つ、ケリー陣営は、イラクの戦後の復興政策が難航しているが、これは準備不足のためではないかという根強い批判をしています。私の所属するCSISも含めてシンクタンクは、復興政策の準備のための提言をかなり行っていたのですが、それらが、イラク復興を担った国防総省に尊重されて取り入れられたケースはほとんどありませんでした。ラムズフェルド国防長官が近かったチャラビ氏という亡命イラク人の話を全面的に信用して、戦後復興はそれほど大変ではない、米軍が行けばみんなが諸手を振って歓迎してくれるというような話を信じていたのではないかという噂が出るくらい何も治安対策の準備をしていなかったのです。この辺に関しては、特にワシントンの専門家の間で不満が高まっています。 大統領選における安保政策の重要性現在、ケリー陣営にいるランド・ビアーズというアドバイザーがいます。彼はクラーク氏同様、民主党と共和党の両方にまたがり、ホワイトハウスの国会保障会議のテロ対策の関係の仕事をしてきました。しかし、去年突然ホワイトハウスをやめ、ケリー候補の安全保障アドバイザーとして今回の選挙に参加しています。彼がホワイトハウスを去った理由として、ブッシュ政権に対して、個人的によほどのことがあるのではという見方がされていました。彼はニューヨークタイムズ紙で「私はイラク戦争は支持する。ただ、ブッシュ政権は国際的な支持を得ることに失敗した。これは、アメリカにとっては非常によくないことだ」と語っているところから見ると、この点が彼自身がブッシュ政権に対する批判点であることが理解できると思います。ケリー陣営には、もう1人似たような経歴の人が参加しています。彼は、ジョセフ・ウィルソンという元ガボン大使で、ケリー陣営に参加し、ブッシュ政権を批判しています。ウィルソン氏は第1次湾岸戦争開戦直前までイラクの米国大使館ので大使代理をしていました。その当時、アメリカ大使館員が、開戦直前にサダム・フセイン大統領の人質になった時、彼は代表として、アメリカ市民の命を守るタフな交渉をして、ブッシュ(父)大統領が、「勇敢なリーダーシップを発揮した外交官」と賛辞を惜しまなかった人なのです。このような人が、今回のブッシュ政権の外交・安保に非常に危機感をもってケリー陣営に参加しているということや、前述の現役閣僚を巻き込んだ激しい舌戦をみれば、今回の大統領選において安全保障問題、特にイラク戦争がいかに争点になっているかが理解できると思います。私は日本人ですし、日本の立場から国際関係を見ておりますので、アメリカのシンクタンクの場においても、アメリカにこうしたほうがよい、ああしたほうがよいということは、言いにくいし言うつもりもないのですが、私が見ていてイラク戦争を、アメリカにとってプラスかマイナスでジャッジするとすれば、マイナスの要素が多いのではないでしょうか。この私のジャッジは、ブレント・スコークロフト氏(ブッシュ父の安保担当補佐官)がウォールストリートジャーナル紙に書いた論説からの影響が大です。それは、「サダム・フセインというのはテロリストと違って抑止可能であり、そして大量破壊兵器をテロリストに手渡す可能性も少ない。なぜならば、テロリストは所在が分からないため直接アメリカの反撃を受けることはないが、国家の元首であるフセインはアメリカの攻撃を直接受けてしまう。しかも、フセインは第1次湾岸戦争でもアメリカに対して何かをしたかったわけではなく、中東での覇権を狙っていた、つまり中東の盟主になりたかったわけであり、無理してアメリカと事を荒立てる気はなく、今戦争をする必要はない」という意見です。私もそのような基本認識で今回のイラク戦争を見ていますし、前述の、ケリー陣営に参加しているブッシュ外交に批判的な人達は、これに近い認識を持っているのではないでしょうか。そのあたりが、現在のアメリカのブッシュ批判勢力の流れだと思います。 選挙後の経済・財政もう1つ、財政赤字についてお話したいと思います。財政赤字もさまざまな理由がありますが、まず、イラク戦争の戦費と復興費用によって赤字がかさんでいます。それだけではなく実は大型減税によっても、赤字が膨らんでいます。議会予算局の試算によれば、2004年度の予算で4780億ドルの赤字、2005年度は3780億ドルの赤字です。来年は減少していると思わせる数字ですが、実はこの中には、イラク、アフガニスタンでの経費は全く入っていません。2004年度の時にも計上しないで、後に補正予算で870億ドルを計上しました。 恐らく来年になって、選挙戦が終了した時点で、2005年度の補正を行うことが予測されるため、結局2005年度も最終的には5000億ドルを超えると予想されています。共和党の議会には、財政タカ派が存在し、赤字財政についてプレッシャーを与えており、ブッシュ大統領にとって気になるところかと思います。しかし、減税は経済政策としての共和党の基本的な理念である上に、ブッシュ大統領が早い段階で資金や支持を集められた要因の1つに、資産家などの減税を望む層が減税を支持していたこともあるため、今後ブッシュ政権が増税に向う可能性は少ないと思われます。経済問題については、大統領選で問題として取り上げられてはいますが、東アジアとの経済・貿易問題がそれほど大きく取り上げられることはないと思います。少し気になる中国や日本との為替問題については、ワシントンでは両陣営とも表むきには、製造業の支持者に対して、それなりにリップサービスしていますが、特に力を入れているわけではありません。対中関係においては、経済的には、これまでの投資のもとをとっていきたいこの時期にあまり悪い方向にもっていきたくないという思惑があると共に、双子の赤字を抱えたアメリカの国債を買い支えているのが日本と中国であるため、それほど厳しい態度を取ることはないと思われます。これはワシントンで一般的にいわれていることです。貿易摩擦でいえば、80年代、90年代に比べると、生産拠点や生産工程が非常にグローバルに展開し、単純に2国間の問題にできなくなっています。そのグローバル化の現象の1つとして、労働力のアウトソーシングの議論が、この選挙戦に絡んででてきました。このアウトソーシングの問題が浮き彫りになった理由の1つには、ケリー側がブッシュ批判をしやすいテーマだったことがあげられます。ブッシュ大統領の経済政策および経済指標もそれほど悪くはなく、今後の経済成長も下降はしないと思われるため、ケリー陣営として唯一攻撃できる点は、アメリカ国内の雇用が増えていないことです。雇用の低下にはいろいろな見方があり、アウトソーシングとして、外に労働力を求めているから経済的には調子が良いが雇用が増えないという構造説と、タイムラグの後で景気が雇用に反映するというオーソドックスな循環説があります。どちらにしても、学問的に結論が見えるまでには、時間がかかるため、11月の選挙には間に合いません。1992年の選挙でクリントン大統領がブッシュ政権の経済政策を攻撃して成功したときと同じような戦略的な思惑もあり、ケリー民主党陣営からアウトソーシング問題が浮上しているのでしょう。ただし、この要素がアメリカの選挙後の対外経済政策に反映されるのかについては、わかりません。 まとめ日本の政策関係の方にアドバイスするとすれば、この大統領選挙は、どちらが勝利するのか分からないので、決め打ちをせずに、どちらに転んでも良いように、ヘッジをして準備すべき、というものです。そんなことは当たり前だろうと思われる方がいるかもしれませんが、日本はこの当たり前を本当に忘れていないか、再確認したほうがいいでしょう。朝日新聞の世論調査では、日本人全般ではブッシュ大統領の再選を望む人が20%台、望まない人が50%以上ということです。逆に政策に関わっている人にとっては、ブッシュ政権が続いたほうが楽だという人が多いのではないでしょうか。ブッシュ政権は、意図的に経済的政策よりも安保的政策を優先してきたため、民主党に変わることによって、経済面での雑音は多少でてくる可能性はありますが、日米が経済的に極端に対立するような要素というのが根本的になくなっていることを認識すれば、民主党になったからといって、日米関係が大変になるとは考えられませんし、考える必要もないと思います。どちらの政党に転んでも大丈夫なように関係を保っておくというのは、議会の関係があるからともいえます。現在のように政府および上下議会の全てが共和党というのはアメリカの歴史では実は珍しく、これが今後どうなるか分からないということもありますし、歴史的にも日米関係が、民主党の議員に支えられてきた部分もあります。今まで日本大使をしてきた人達が、その後の日米関係も担ってきたということもあります。ブッシュ政権の良好な対日政策の中心人物のアーミテージ国務副長官は、そのような事情を理解しているため、民主党政権で国防次官補を務めたナイ氏や民主党の専門家もいれて、ナイ・アーミテージレポートという形で、超党派で日米関係への提言を行ってきました。そのため、もし民主党政権ができたということであっても、アジアの安保に関しては、ナイ・アーミテージレポートのラインに関わっているキャンベル氏やナイ氏がおりますので、そこは日本にとっては、安心材料だと思いますし、とりあえずはそのルートを暖めておくとよいのではないでしょうか。 コメント中林氏: ケリー氏が先日の記者会見で、コーポレートタックスを減税すると発表しました。今のアメリカの経済は雇用が伸びていないため、オフショアやアウトソーシングといった問題が経済関係では一番の問題になっています。これを防ぐために民主党は保護貿易で行くのかと思えば、コーポレートタックスの減税を行い、外に労働力がいってしまわないようにしようとしています。これからの民主党の経済政策も見ていくべきですし、意外とケリー氏もあなどれないかなという印象をもって帰ってきました。 質疑応答Q:先週、ナショナルコミッションズ9.11パネルのヒヤリングを随分派手にやっておりましたが、夏ぐらいに報告ができそうだといわれています。また、9.11のテロ事件についても見直しが行われていますが、議会や議員よりもむしろ有権者のレベルで、いつまでイラクの犠牲を我慢できるのでしょうか。そして、9.11のテロ事件の見直しについてどのような影響がでてくるのでしょうか。場合によっては、ブッシュ政権の今までの政策を全面否定されることもあるかと思うのですが。 A:犠牲者、米軍の死亡者が500人を越えています。怪我人の人数も目に見えるため、社会的には影響が大きいですね。それが増加していくと、やはり国内で不安定な要素になっていきますし、いつまでやっているんだという話になりますが、現時点ではある程度押さえられています。おそらく、共和党、民主党の両候補もイラクからすぐに撤退すると中東は混乱し、ますますテロの温床になってしまうと考えていると思います。このように、イラク戦争の是非、あるいは9月11日の問題点とは別なところでコンセンサスがあって、コンセンサスがない部分があるとすれば、今後、国際機関や国連とどのように協調していくのかということです。もし、このコンセンサスを超えて撤退ということになれば、イラクで内戦状態が勃発したりという原因によるものでしょう。いつまでというのは難しいですね。9.11のパネルについては、基本的な問題ははっきりしているため、後追い状態でまとめるだけです。これまでのパネルの話では、ブッシュ政権だけの責任にはなっていませんので、これにより選挙の形勢がどちらかに大きく傾くということにはならないと思います。 Q:北朝鮮政策について、ジョージワシントン大学でのキャンペーン中にペリー氏がブッシュ政権を批判したことについて、主としてイラクのことだと思いますが、98、99年にペリープロセスでまとめられた内容が具現化されている気がします。ペリー自身が今のブッシュ政権の北朝鮮政策を実際に批判しているのかどうかについてコメントをいただきたいと思います。 A:ペリー自身は北朝鮮に対して、6カ国協議以前に物事が進まなかったということに対して不満は示していました。6カ国協議が割と強硬な関与政策のところで、コンセンサスがあるので、それに関してペリー氏は間違っているとは言わないでしょう。ただし彼は、92年と93年のクライシスの時に国防長官で、北朝鮮が核兵器を持ってしまう可能性とそれを武力行使によって未然に防ぐのとを秤にかけて考え抜いた人です。そういう意味では、武力行使の選択肢には柔軟です。むしろブッシュ政権が強硬派の姿勢を示すだけで、武力行使のムチも、交渉によるアメも示さず、空転が続く間に、北朝鮮が核を持ってしまうのではないかということにかなり不満をもっているのだと思います。 Q:中国に対してのケリー氏の考え方がよくわからないのですが、仮に彼が大統領になった場合、変化はないということでしょうか? A:対中政策は今までのアメリカの選挙でも争点となり、対立があった割には、結局それなりの政策に収束しているので、今回もあまり変わらないのではないでしょうか。ケリー氏は白紙に近く、中国、特に台湾に関してどういう態度をとるのかあまり見えてきません。彼は、17年間上院外交委員会にいた経験から知識も豊富で、台湾と中国の関係についても良く理解していますし、ブッシュ大統領はニュアンスが分からない男といわれていますが、ケリー氏は逆にニュアンスが分かるので、状態を見ながらバランスをとっていくのではないでしょうか。 Q:ジョン・エドワーズ氏を副大統領候補にして、本当にそれで勝てるのでしょうか? 予備選では、ディーン氏でなければエドワーズ氏といわれていましたが、南部でもケリー氏に大差で負けてしまいました。どこが弱かったのでしょうか? A:民主党は打倒ブッシュのため早めに予備選を行い、早く候補を決めたいという思惑があり、早すぎる予備選の展開は、二番手以降の候補には不利な状態でした。エドワーズ陣営にしてみれば、もっと時間が必要だったと思います。南部では、エドワーズ氏はケリー氏にそれほど引き離されてはいないと思いますが、エレクタビリティーという面で負けたのだと思います。ケリー氏の一番の弱点は、エドワーズ氏のように派手さもないため、これから選挙までの長い間、国民をいかにあきさせず、人気を拡大していけるかということです。南部の住民は、南部の出身者を応援します。歴史的にも、南部出身でない民主党の大統領はケネディーまでさかのぼらなければなりません。なんとか地元の得票をという意味でも、エドワーズ氏が候補として名前があがるのだと思います。 Q:安全保障のポリシーについて共和党と民主党の違いは昔からいろいろありますが、ケリー氏も、もともと軍人ということもあり、ブッシュ大統領の行ってきたことをひっくり返すほどの非常識なタイプではないと思います。もちろん、外交委員会にもおりましたので、知識を持っていると思います。民主党政権になった場合と共和党が引き続き政権を行った場合を比較したとき、安全保障面での違いが考えられれば指摘いただきたいと思います。 A:大事な違いの1つとして、言葉遣い、態度、イメージがあげられると思います。アメリカは世界でのイメージがあまり良くないと思いますが、民主党にそのようなイメージを良くしようとする動きがでてくると思います。アメリカが一国主義といわれる部分も、これらに気を付けることで随分変わってくるでしょう。NATO、WTO、国連などへの国際的な正統性が足りないという部分への配慮がでてくると思います。 Q:今回の選挙で、WTO、FTA、貿易政策について何か一言ありましたら、お話しください。 A:貿易に関していえば、中林さんが先ほどお話されていましたが、アウトソーシングに対しては減税で対処し、貿易等では対処しない方向に動いていると思われます。ケリー氏は、「WTOは見直さないけれども、国際ルールは守ります。自由貿易は大事だから自由貿易も守ります。しかし、個別の貿易関係の見直しはします」といったこといっています。あんまり自由貿易に反対だといっていると、これはブッシュ側がリベラル=非国際的だといっていることもあり、世界的なルールを重視しないで、自国のことばかりをいっていいのかという批判を受けることにもなりますので、その辺は国内経済利益とのバランスでの綱渡りになります。ただ、実際に政権についた時に、どこまでNAFTAを見直すのかは難しいと思います。なぜかというと、自由貿易協定(Free Trade Agreement)というのは、それなりに機能し、全体のアメリカ経済にとってはプラスになっていますので。問題は、そこで不利を被っている人達の不平をできるだけ非合理的でない形で汲み取っていくかという政治的な問題になります。このような部分が、ケリー氏が今後模索していくところだと思います。 Q:共和党の財政タカ派のお話がありましたが、ブッシュ大統領がもし再選した時に、ブッシュ政権は、財政再建に本気で取り組むことになるのでしょうか? A:そうですね。おそらく相当本気で取り組まざるを得なくなるでしょう。既に、ブッシュ政権は数値目標を出しています。削減対象が、軍事関係、減税(増税)には手をつけないため、福祉関係から削減をすることになりますが、これは社会的には混乱と反発を引き起こす可能性があります。また、この削減がうまくいくとすれば、議会の協力が必要になります。クリントン前大統領がなぜあんなに見事に赤字を減らすことができたかというと、クリントン前大統領のイニシアティブもさることながら、中林さんの上司であった、共和党のドミニチ財政委員長がアメリカの弱点として財政赤字を指摘し、アメリカが世界市場で勝ち残るために財政赤字を減らすためのコンセンサスを作っていったのです。そういうことをブッシュ政権が今後やれるのかは難しいと思います。ただ、財源削減圧力は、ブッシュ大統領が再選を果たした後に、もっと強くでてくると思います。軍事予算は、レーガン以来最大の額になっています。この軍事予算が減らない理由の1つは、軍人の給与や待遇を上がってしまったためであり、兵器やイラクにかかる費用とは別に、ものすごくコストがかかっています。このコストを減らすことは短期的には無理で、長期的にしか減らせず、また、今後減らさざるを得ません。冷戦期に装備した不必要なものを減らすべきではないかという動きもあります。ちなみに、CSISの国際安全保障部のキャンベル元国防次官補代理のプロジェクトでは、国防総省のマネージメントコストを減らそういう提言をしています。 この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 終了したセミナーシリーズ 情報発信 ニュースレター 更新情報RSS配信 Facebook X YouTube 研究テーマ プログラム (2024-2028年度) プログラム (2020-2023年度) プログラム (2016-2019年度) プログラム (2011-2015年度) 政策研究領域 (2006-2010年度) 経済産業省共同プロジェクト プロジェクトコンテンツ 調査 フェロー(研究員) 論文 ディスカッション・ペーパー(日本語) ディスカッション・ペーパー(英語) ポリシー・ディスカッション・ペーパー(日本語) ポリシー・ディスカッション・ペーパー(英語) テクニカル・ペーパー(日本語) テクニカル・ペーパー(英語) ノンテクニカルサマリー 英文査読付学術誌等掲載リスト Research Digest 政策分析論文 調査レポート 論文検索サービス 出版物 RIETIブックス(日本語) RIETIブックス(英語) 通商産業政策史 著者からひとこと RIETI電子書籍 年次報告書・広報誌(RIETI Highlight) その他出版物(日本語) その他出版物(英語) イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 終了したセミナーシリーズ データ・統計 JIPデータベース R-JIPデータベース CIPデータベース JLCPデータベース 日本の政策不確実性指数 産業別名目・実質実効為替レート AMU and AMU Deviation Indicators JSTAR(くらしと健康の調査) RIETI-TID 長期接続産業連関データベース マイクロデータ計量分析プロジェクト 海外直接投資データベース ICPAプロジェクト リンク集 コラム・寄稿 コラム Special Report EBPM Report フェローに聞く フェローの連載 世界の視点から 特別コラム 新聞・雑誌等への寄稿 特別企画 経済産業ジャーナル RIETIについて 個人情報保護 ウェブアクセシビリティ方針 RIETIウェブサイトについて サイトマップ ヘルプ お問い合わせ 経済産業省 独立行政法人経済産業研究所(法人番号 6010005005426) 当サイト内の署名記事は、執筆者個人の責任で発表するものであり、経済産業研究所としての見解を示すものでは有りません。掲載している肩書や数値、固有名詞などは、原則として初掲載当時のものです。当サイトのコンテンツを転載される場合は、事前にご連絡ください。 "ページの先頭へ戻る

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