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ホームイベントBBLセミナー2002年度 米国予算編成プロセスの紹介 ---最近のトレンドを含めて--- 印刷 開催日 2002年6月14日 スピーカー 中林 美恵子 (RIETI研究員) ダウンロード/関連リンク 配付資料[PDF:700KB] 議事録 今日は、米国の予算編成プロセスの紹介ということで、私がアメリカの制度の中で経験してきたことを、日本との違いも踏まえてご紹介したいと考えます。また予算編成はまさに政治的決定プロセスそのものであることから、アメリカの政治インフラの部分にも触れながら話を進めたいと思います。はじめに、アメリカが大統領制であるのに対して日本は議院内閣制ですから、予算編成のプロセス自体にも大きな違いがあります。日本では今、経済財政諮問会議がうまく機能していないのではないか、という議論がありますが、総理の諮問機関に過大な期待をするのはどうかと思います。諮問会議はすでにある行政システムを温存する一方で、それに付け加えられた形に過ぎません。もし総理がそれを有効利用しなければ、組織はつまみ食い的なアイディアだったといえます。また日本で、かつてアメリカの会計検査院GAOが興味の対象になったようですが、これだけではやはりアイディアのつまみ食いです。もし日本に問題があり、それを改善するために改革が必要なら、もっと大きなピクチャーの中で組織や枠組みを考えられなければならないでしょう。日本には日本独自の制度・歴史・風土があるのですから、まずは日本が欲しいスタイルの民主主義を考えてから、細部のデザインについての是非を語るべきです。ということで今日はアメリカの例をご覧いただくわけですが、最初のこの図で、アメリカの行政府と立法府のイメージを描いてみました。 「警告者を撃つ」日本の金融システムShoot the messenger(警告者を撃つ)という表現がありますが、残念ながら今の日本はそういう状況に陥っているように思えます。格付け機関の例が示すように、外国人が日本の問題を取りざたすると、攻撃を浴びせられます。あえてこのような話をするのは、日本政府のこうした姿勢が逆効果を招いていると思うからです。別に格付け機関を弁護しているわけではありません。もう少し一般論的にいうならば、格付け機関やIMF、ひいては民間エコノミストを攻撃することで、日本政府は全世界に向かって、自らの問題を認めようとしないというメッセージを送ってしまうことになるのです。そういう意味で逆効果だと言っているのです。従来どおりの引当金方式で対処していくと、不良債権問題の解決はおそらく後10年はかかるでしょう。格付け機関の資料を見てみると、日本の場合、個別銀行の財務健全性と格付けの間に際立った乖離があるのが見て取れます。個々の財務健全性が脆弱にもかかわらず比較的高い格付けが得られるのは、これらの金融機関の破綻はないと格付け機関が想定しているからです。邦銀の高格付けには、(銀行をつぶさないという)暗黙の政府保証が反映されているのです。 アメリカの行政府と立法府についてまず、米国では制度的に国民が中心に位置します。そしてホワイトハウスを頂点にした行政府と、それとは別の立法府がそれぞれ違うスタッフを抱えています。行政府は予算に関しては、行政予算管理局OMB(Office of Management and Budget)が中心になって各省庁の折衝や調整、予算執行の元締めを担当しています。省庁と政党をつなぐのはトップ官僚である政治指名職の人々です。また立法府については、「議会」としてひと括りにしてしまうことが多いのですが、実際には上院と下院ではかなり違いがありますし、特に政党が割れてしまった年などは提出される法案も大きく違ってきます。一方、立法府は議会予算局CBO(Congressional Budget Office) と会計検査院GAO(General Accounting Office)を付属機関として持っています。OMBはホワイトハウスがどちらの党にあるかによって立場が変わりますが、CBOとGAOは政党には組みしません。立法府には公務員である立法官僚がいて、上司の所属政党によって2つに分かれ雇われます。政党にはまた別に選挙資金でまかなわれるスタッフが選挙対策や選挙で訴える政策を練ります。選挙スタッフは選挙で勝利した場合には政治指名職としてホワイトハウス入りする場合がありますし、特定議員の選挙を手伝った場合には立法公務員になる可能性もあります。立法府のスタッフたちは、国政レベルで立法をする委員会スタッフと、一議員の活動補佐と地元サービスが大事な仕事である個人事務所スタッフに分かれます。 このほか国会図書館や政府部門とは別に、ロビイスト、コミュニケーション・ファームといって政策や選挙の宣伝顧問などをする会社、また政策研究のシンクタンクなど、図に描かれた部分の外にも政策関係者が大勢います。 予算教書が議会に提出されるまでのプロセスここから予算面に焦点を当てた話をさせていただきます。 行政府ではOMBが非常に力を持っていて、ホワイトハウスの中で大統領の予算教書ができるまで省庁の概算要求などをとりまとめます。その過程は約1年。現在ワシントンでは議会で予算審議が行われていますが、同時に省庁では2004年度の予算を組む作業がすでに始まっています(ちなみにアメリカの予算年度は10月1日から)。大統領にはOMBのほかに財務省や経済諮問委員会CEA (Council of Economic Advisors) といった組織も協力し、アメリカの経済や財政についてアドバイスしています。そして大統領はOMBに対して自分の理念を伝え、それに従ってOMBのリーダーシップで予算内容を固めると、また省庁へ予算案や決定事項などを伝えて双方がやりとりするといった具合に、いったりきたりのプロセスを踏んでいきます。このプロセスで大統領のひと言があれば、それが絶対的な力を持ちます。そして11月には省庁がOMBに最終案を提出、12月に再度、大統領がレビューしてOMBがかなり詳しいドキュメントに仕上げ、2月の第1月曜日に大統領が議会に予算教書を提出します。ホワイトハウスの仕事は2月の初旬に予算教書を作ることでサイクルが終了するわけです。予算教書は大統領のリクエストでしかなく、それを受け取った議会が実際の予算法を書きます。 アメリカ議会の立法権限ここで、議会の立法権限について触れておきます。日本の場合は国会に立法権限がありますが、米国では大統領であっても行政府の人間では本会議に法案を上程する権限がありません。その必要がある場合は、必ず議員を通して行います。つまり、立法府と行政府の役割が明確に分かれているのは日本と大きく違います。立法府の仕事はじつに多岐にわたっています。日本では省庁が法案を積み上げていきますが、アメリカの場合は議員に立法権限があるのでさまざまなところから法案の申請があります。大学の先生やロビイスト、シンクタンクの研究者、地方自治体の議員などといった具合です。また個人事務所が選挙民からの法案を引き受ける場合もあります。議員は自分の気に入ればそれを提出できますし、協議しながら自分に合うように変更して出す場合もあります。ですから全てが議員作成でオリジナルの法案というわけではないのです。ちなみに1997~98年の第105会期の場合は、上院と下院で7732件の法案が出されましたが、そのうち実際に法律になったのは394件と約5%にしか過ぎず、ほとんどの法案は法律となる前に「死んで」しまいます。というのも、全ての法案を審議していたら時間が足りないので、スクリーニングが行われているのです。そのスクリーニングは事実上、委員会でなされています。委員会とは多くの立法スタッフが実際に立法作業をする場所です。もちろん個人議員も法案を提出しますが、どちらにしろ、どの分野の法案かによって管轄権限を有する委員会に振り分けられてしまいます。どの法案を委員会が採り上げるかということはほとんどの場合、委員長が決定権を持っていますので、委員会つまり委員長が押す法案が本会議に送られる場合がほとんどです。しかし個人議員も委員会内に席があれば影響力を持ちますし、本会議で修正案を提出することができます。 法案が法律として成立するまでのプロセス法案が委員会で採り上げられると、まず公聴会が開かれます。公聴会は議席の多いほうが多数党(マジョリティー)、少ないほうが少数党(マイノリティー)と分かれます。通常は少数党になると委員会予算の3分の1しかもらえませんし、オフィス・スペースも3分の1です。委員長はマジョリティーの筆頭議員がなり、相対抗する勢力としてのマイノリティーは筆頭議員であるランキングメンバーの下にマイノリティー・スタッフを置くわけです。公聴会のスケジューリングやアジェンダ設定は全てマジョリティーに権限があります。証人は省庁の長官からシンクタンク研究者に至るまでさまざまです。3分の2の証人たちをマジョリティーが、残りの3分の1はマイノリティーが召集して公聴会が開かれます。 これによってアジェンダが決まります。証言内容はさまざまなメディアで取り上げられるので国民へのアピールの第1歩になります。また公聴会では、専門家に質問することで、議員とスタッフがさまざまな知識や情報を得ます。それでも公聴会には準備作業が随分あり、想定問答集(「ノートブック」といわれるブリーフィングブック)などを委員会スタッフが作成し、前夜までに委員に配ります。ここでもマジョリティー・スタッフは多数党委員たちに、そしてマイノリティー・スタッフは少数党委員たちに対して仕事をします。証人たちは、日本のように事前に質問を聞かされることはないので、仮にグリーンスパン連銀議長が証人であっても、その場で即答です。公聴会がすむと「マークアップ」に移りますが、予算決議の場合はこれを3月頃に行い、本会議にどのような決議案を送るかが決定します。予算編成については、4月15日までに予算決議を通すのが一応の規定です。予算決議では20の項目に分けて、予算の大枠と国家経営の長期的な方向性が示されます。その後は歳出委員会が単年度の裁量的経費を中心に、13本の法案にするためマークアップします。院内総務は本会議スケジュールを調整し、どの順番で本会議の審議を行うかを決めます。本会議の審議が始まると議員による修正案等が提出されますが、予算の場合は好き勝手な修正案をつけると審議の時間がなくなってしまうので、予算の数字に関わるものしか実質的には出してはならないと厳しく定められています。上院と下院で異なったバージョンの法案が提出されるので、それらを両院協議会で協議して完全に一致させてから再び上院と下院の採決が行われます。それが通れば大統領に送付され、サインがされれば法律になりますが、拒否権が発動された場合は、議会で3分の2の議決票が得られないと法律になりません。これらのプロセスは国民に開示され、時間がかかればかかるほど、さまざまな議論がテーブルの上に乗り、合意は困難を極めます。 米国議員にとって重要な、委員会とのアサインメント下院議長や院内総務をはじめとするリーダーたちは、各党内で投票が行われ選出された議員たちです。彼らは本会議でのスケジューリングや政党ごとの政策や広報にと役割分担されています。上院と下院には同じような委員会がそれぞれあり、議員は委員会に所属することによって国家レベルの法案に関ります。新人議員は当選すると、それぞれの党のリーダーに掛け合います。地元への利益誘導に有利になるような権限の強い委員会は人気が集中します。将来にわたっての自分の専門分野を決定することにもなるので、委員会のアサインメントは非常に重要です。議員は複数の委員会を掛け持ちしてもいいことになっていますが、歳出委員会など非常に権限の大きい委員会(たとえば共和党内ではAランクとされている)の場合は、党の内規で他のAランクの委員会とは兼務できなかったりします。ちなみに私のいた予算委員会は予算の全体の枠組みに関する委員会で、地元利益にも繋がらないうえ26年前にできたばかりなので、Bランクの委員会でした。つまり歳出委員会やその小委員会の委員長などを兼務している委員がいてもいいわけです。 アメリカにおける予算編成のプロセス予算委員会は年が明けると同時に公聴会を開き、国全体の予算枠を決める作業を行います。アメリカの予算の裁量的経費と義務的経費を包括し、歳出と歳入のバランスを踏まえて予算編成の方向性を示すのが管轄です。たとえば法律を改正しなければ歳出や歳入のコントロールができないと予算委員会が判断すれば、財政調整法(リコンシリエーション)の日程制限や金額などを指定し予算決議に含めます。実際の立法作業は、管轄権のある委員会が予算委員会の指示に従ってそれぞれ行います。裁量的経費と義務的経費の割合は裁量がおよそ3分の1、義務がおよそ3分の2です。歳出委員会は13の小委員会に分かれてエネルギーや退役軍人、建設などの法案を作成します。その13の委員会の法案が本会議を通過すれば、大統領に送られサインされて歳出法の成立となります。予算委員会は歳出委員会と違い、課税をどうするのか、歳出歳入をどうするのか、小さい政府か大きい政府か、といったような国家の理念的な対立が顕著な委員会で、民主党と共和党の基本理念が極めて激しく対立する委員会でもあります。他方、歳出委員会は民主党か共和党かにかかわらず議員同士が地元利益誘導において手を握ることができるので、意外と理念の対立が前面に出る委員会ではありません。歳入委員会は税制を管轄とします。ただ、それを単独の法案で通そうとすると、特に上院の場合はフィリバスターというマラソン演説で審議を妨害される確立が非常に高くなります。これを止めるには100人いる上院議員のうち、60票が必要です。これを単独の法案でなく予算決議のリコンシリエーションとして入れてしまうと、審議のスピードが格段に速くなります。国民にとって予算の執行は必須事項なので、このプロセスには論戦や修正案に制限が予め付けられていて審議の邪魔がしにくくなっているのです。そんなわけで税制改正などの財政関係立法は、予算決議の中で財政調整法インストラクションとして通過させてからという手法が最近はよく使われています。また予算権限法についてですが、これは外交委員会や商務委員会など管轄をもつ委員会が複数年での予算権限をつけるものです。建前としては、この予算権限がないと歳出委員会からの歳出も可能ではありません。しかし権限が立法されていても歳出委員会が歳出法として立法するとはかぎりません。したがって歳出権限法は必要条件ですが十分条件ではないのです。日本の行政府と照らして考えるとずいぶん違った役割があり、米国では行政府における省庁のよりも、歳出委員会のほうがより強い歳出決定権を持っているといえます。 アメリカにおける予算編成プロセスの改革の歴史ここでアメリカにおける予算編成プロセスの改革について触れます。現在の予算プロセスの原型は1974年の予算法です。これによって今のCBO(Congressional Budget Office)ができました。ホワイトハウスのOMBは行政府の側で、以前から大統領の予算を作成する中心的存在でした。特にベトナム戦争時にはニクソン大統領がこれをフル活用し、予算の専門的知識を利用して歳出をコントロールする傾向が顕著になり、議会の反発を招くに至りました。議会は予算の正確な数字や知識を持っていなかったので、その反省に立って、どのような組織とプロセスを持ち込んだらいいのかを検討した結果に作られたのが74年の予算法だったわけです。CBOのスタッフは250人程度でOMB(約550人)に比べると人数は少ないですが、細かいプログラムの数字まで把握しています。また政策の立案や立法権限はありませんが、エコノミストなどの専門家集団であり、米国経済の成長見通し、財政赤字/黒字の見通しも出します。議院が提出する法案にどれくらいの経費がかかるのかも算出して政策決定を助けています。CBOは議会のためにテクニカルな部分をカバーする組織ですから、どの政党のリクエストに対しても仕事をします。ただしCBOは政策立案という部分には理念的立場の主張ができませんし決定権もありません。政策立案は政党色を持った議員と直結した委員会がします。同時に、74年予算法の前まで、議会は国全体の財政バランスを考慮するメンタリティーがありませんでしたが、予算委員会を同法で設立したことによって、義務的経費を含め国民の年金や健康保険、税収までをトータルに含め、議員自らが国政の全体像を検討するようになりました。予算編成プロセスの改革といったシステム的な議題も予算委員会の管轄です。委員会には実際に議員たちが席を置くわけですから、歳出圧力をかけるなどの、議員たちが責任をもって財政規律を考える仕組み作りの一環でもあったわけです。そして1980年、それでも赤字が増加を続けて経済がうまくいかない中で、議会の改善策としてOmnibus Reconciliation Processというものが始まりました。財政調整法の枠組みが予算決議の中に組み込まれるようになったのです。これが、スピーディーな財政改革を、全体の整合性の中で進めることになっていきました。さらに、1985、87年に悪名高き財政収支均衡法Gramm-Rudman-Hollings (GRH)法というのが加わり、全体の収支バランスについて最終的な目標数値を決め、達せられねば一律歳出カットという厳しい状況を作りました。ところが、議会には年金や福祉など一律カットされては困るものもあったため、議員は次々とさまざまなプログラムを例外項目に加えていきました。その結果、90年の最悪な財政状況にあって、850億ドルの一律カットを国防予算で32%カット、国防以外の裁量的経費で35%カットという非現実的な状態にまでなりました。その対策として、1990年の財政執行法BEA (Budget Enforcement Act) 法というものができたのですが、BEAで決まった主なことは、裁量的経費を対象に緩やかなキャップを設けることです。災害などが起こった場合はキャップの中にカウントしません。さらにPAYGO (Pay-as-you-go) ルールができました。議員が義務的経費の歳出を伴う法案や修正案を提案する場合には、その財源を、別の部分の歳出カットまたは増税で見つけなければならないとしました。すなわち、提出される政策案が財政面でニュートラルになるようなルールを持ち込んだわけです。これが財政均衡にかなり奏功したとアメリカでは認識されており、財政規律とともに財政均衡への道が短く、また早くなったといえます。この他に1993年のGPRA(Government Performance Results Act)行政評価法も、アメリカの財政改革の一環ということがいえます。これは行政評価という視点から、省庁自身が目指すゴールを書面にして議会に提出し、それが実現できたか否かということの評価もすることになっています。今年2月ブッシュ大統領が提出した予算教書では、信号機の色に例えて行政評価成績表を載せました。青だったのは1つか2つ、ほとんどは赤でした。黄色は評価のしようもない、その材料すらない、ということで実際には赤よりも悪い黒ポイントといえる代物です。そのような悪い状況ではありましたが、これを第1歩として、業績評価をしていこうという1歩を踏み出したことには意義があります。しかし行政評価については、評価の結果が議会の作成する13本の歳出法に反映するメカニズムがないため、議会側の改革プロセスがまだまだ必要です。 アメリカの今年の予算編成スケジュールさて、今年の予算編成のスケジュールについてですが、2月の第1月曜日に大統領が予算教書を議会に提出するところから議会のプロセスが始まりました。1月には規定(2月15日以前)に沿って議会予算局(CBO)から財政と経済見通しのレポートが提出され、大統領の予算教書から6週間以内には各委員会が要望を予算委員会に提出、上院と下院の予算委員会がそれぞれ予算決議を成立させるはず(規定では4月15日まで)でした。しかし今年は例外的な年で、下院では4月15日以前に決議が通ったのですが、上院はジェフォーズ議員の共和党離党により民主党との協議がうまくいかず、まだ予算決議が通っていません。このような場合は、前年度の予算決議の数字で執行しなければならないことになっています。しかし9.11テロと景気低迷で歳出圧力は強く、いずれは別の法案に修正をつけて歳出額を増やさなければならないでしょう。 夏になるとCBOとOMBがそれぞれ中間報告のレポートを議会に提出します。年初めの経済・財政見通しから変化が必ず生じるものなので、歳出委員会が歳出を決める季節に最新の財政報告と経済見通しが必要です。また夏にはOMBとCBOが、裁量的経費のキャップを超えそうな場合や、PAYGOが守られなかった場合の一律歳出カットの可能性を議会に報告します。そして10月1日からは新会計年度が始まりますが、会期終了の10日以内にCBOが、そして15日以内にOMBが、予算全体のバランスをみて一律カットの必要性有無をレポートし、OMBが大統領の命を受ければ執行します。以上がアメリカの予算編成プロセスの概要と現状です。 質疑応答Q:日本の予算は単年度主義なのに対して、米国は単年度で収支が決まらない、という部分がよくわからないのですが。 A:アメリカの予算編成は予め、歳出権限(BA, Budget Authority)と支出(OT, Outlay)とに分けて予算を組みます。OTが実際に特定の単年度で支出される数字になります。プログラムは1年で終了するものばかりではなく、BAもOTも複数年を見積もっていますが、実際の支出は過去のOTを見なければなりません。また、どのプログラムが何年かけて歳出していいものかなど、実際の歳出法を読まねばなりません。細かい規定や独特な規定が議会のその時点の裁量で書かれているからです。要するに、プログラムによっては3年間で毎年いくらの支出をするべし等と歳出法がマイクロマネージするケースもあれば、大雑把なケースもあります。あまりにもそれぞれなので、厳密には法律の文言を読まねばなりません。行政府にしてみたら、議会でロビーをしてでもマイクロマネージメントを極力少なくして欲しいところです。 予算の執行においては、歳出委員会が立法によって確定的なBAとOTを決定して、執行の義務と権限が行政府に移ります。OMBがこれを管理しますが、いちどに省庁にお金を与えると計画的な予算執行が狂う場合もあるので、OMBと財務省が少しずつ執行金を支出します。 Q:予算の歳出まで米国議会では9カ月かけるのに対し、日本は2カ月です。日米どちらが効率的で国民のためになると思われますか。 A:効率だけ見ると日本のほうが圧倒的に効率的でしょう。ただ、効率的であることがベストかということは別の問題です。民主主義国家である以上、国民に対して理解を求める必要があると考えるからです。国家の政治レベルは国民のレベルまでです。民主主義はある意味では非効率で、お金や時間がかかるものですが、現実に政治がパワーゲームになる政策立案者たちの頭を冷やさせるのに、民主主義の成熟はより安定した国民の幸福に寄与すると考えます。 Q:1.米国の場合は小さな政府でバランスしています。なぜ小さな政府になれるのでしょうか。メリットがあるからなのか、マイノリティーの声が反映されていないからなのか、あるいは制度上、圧力がコントロールされているシステムなのでしょうか。 2.PAYGOが具体的にはどのように実現されているのでしょうか。誰がどのように責任をとっているのですか。 A:1.小さな政府は共和党が推進役です。共和党の政策理念が実現するかどうかは、議会の議席バランスや、時の社会状況によって左右されます。どのように議席バランスが決まるかはもちろん選挙によってです。比較的大きな政府を志向する民主党には、労働組合やマイノリティーの支持者が多く、雨が降ったり疲れていたりするだけで選挙に行かない層であるといえます。ちなみに民主党の選挙対策の課題は、いかに民主党支持者を投票場に行かせるかです。一方で共和党は、宗教関係者を含めて企業経営に携わる選挙民が多いので選挙にはよく出かけ、結果的に共和党の提唱する小さな政府という声が大きくなるだろうと思います。また、アメリカには社会主義政党そのものが存在しません。歴史的に、欧州の封建主義から逃れて自由を求めた人々によって建国された国だという風土も関係しているのかもしれません。ただ、こうした小さな政府志向が楽に支持を得ているかというとそうではなく、いつも苦労をしています。 2.PAYGOは議会の会期終了後、一律カットのレポートをもとに大統領が執行できるように仕組んであります。それを避けるために議員たちは財源探しをします。予算委員会でそれをする場合もありますし、歳出委員会がする場合もあります。財源のオプションが提示されていないものは赤字財政下ではなかなか委員会や本会議で通過しません。またポイント・オブ・オーダーという厳しいルールが上院にはあり、これも60票の支持がなければ歳出項目の案自体が却下となります。財源の根回し等の戦略は議員によっていろいろですが、赤字財政の政治環境下ではPAYGOをクリアーできないとなかなか新規歳出は通らないというのが現実でした。しかし財政見通しに反して黒字が増加しつづけた昨今は、財源の増加があったし、議員たちの気が一気に緩んで歳出増加へと流れました。それでも歳入増加のペースが速かったうちはよかったのですが、9.11テロの復興費や国土安全保障の費用、そしてテロ組織との戦争費用など歳出のペースが急速に速まった今、アメリカは財政規律を失っています。戦争や災害など緊急財政出動の必要がある場合、財政規律のルール部分は当てはまらないという例外措置適用となります。 Q:日本だと米国のように審議の時間が取れないが、政府段階でPAYGOが議論になります。大統領案を作るときに何かシステムがあるのですか。 A:省庁のほうも新しい政策を提示するにあたって、PAYGOルールを常に頭に入れています。もし会期閉会後に一律カットになったら予期せぬ問題が起こる可能性がありますから。この調整はOMBがするケースがほとんどだと思います。 Q:各議員が、自分の地盤に利益誘導する際の行動パターンは? A:議員の所属する委員会によってパターンが違ってきます。歳出委員会のメンバーは、委員会で13本の法案の叩き台が作られる早い段階で、他の同僚議員に根回しします。歳出委員会とその小委員会の委員長は絶大な権限を持っているので、地元利益誘導はほとんどあからさまです。また普通の議員にとって最も単純な方法は、本会議で13本の歳出法案のうち該当する種類のものに修正案を提出し、通過するように議員間で運動することです。下院議長や院内総務などの党のリーダーたちも大きなバーゲンパワーを持つので利益誘導合戦に有利です。 Q:取引材料としてはどのようなことがあるのですか。 A:バーゲンパワーはいろいろです。自分が大きな権限をふるう委員会での優遇を担保に歳出のわがままをきいてもらうこともあれば、時々の政治状況の全て、スキャンダルであれ何であれ、利用できるものは利用するでしょう。機転は議員の腕の見せ所です。ライバル政党の議員の賛成も得られるものなら得ようとするのが利益誘導です。この場合は政党や理念の別なく結託してお互いの利益をゼロ・サムならぬサム・サムに決着します。また逆に、「この議員はサイクルだから」という言葉を私はよく聞いてきましたが、これは議員が選挙の年に当たっているという意味で、危なそうな議員の場合は党のリーダーや委員会の長たちがその議員の選挙に有利になりそうな地元利益誘導に協力したりします。党の議席数が減って皆でマイノリティーしてしまったら元も子もありませんから。 この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 終了したセミナーシリーズ 情報発信 ニュースレター 更新情報RSS配信 Facebook X YouTube 研究テーマ プログラム (2024-2028年度) プログラム (2020-2023年度) プログラム (2016-2019年度) プログラム (2011-2015年度) 政策研究領域 (2006-2010年度) 経済産業省共同プロジェクト プロジェクトコンテンツ 調査 フェロー(研究員) 論文 ディスカッション・ペーパー(日本語) ディスカッション・ペーパー(英語) ポリシー・ディスカッション・ペーパー(日本語) ポリシー・ディスカッション・ペーパー(英語) テクニカル・ペーパー(日本語) テクニカル・ペーパー(英語) ノンテクニカルサマリー 英文査読付学術誌等掲載リスト Research Digest 政策分析論文 調査レポート 論文検索サービス 出版物 RIETIブックス(日本語) RIETIブックス(英語) 通商産業政策史 著者からひとこと RIETI電子書籍 年次報告書・広報誌(RIETI Highlight) その他出版物(日本語) その他出版物(英語) イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 終了したセミナーシリーズ データ・統計 JIPデータベース R-JIPデータベース CIPデータベース JLCPデータベース 日本の政策不確実性指数 産業別名目・実質実効為替レート AMU and AMU Deviation Indicators JSTAR(くらしと健康の調査) RIETI-TID 長期接続産業連関データベース マイクロデータ計量分析プロジェクト 海外直接投資データベース ICPAプロジェクト リンク集 コラム・寄稿 コラム Special Report EBPM Report フェローに聞く フェローの連載 世界の視点から 特別コラム 新聞・雑誌等への寄稿 特別企画 経済産業ジャーナル RIETIについて 個人情報保護 ウェブアクセシビリティ方針 RIETIウェブサイトについて サイトマップ ヘルプ お問い合わせ 経済産業省 独立行政法人経済産業研究所(法人番号 6010005005426) 当サイト内の署名記事は、執筆者個人の責任で発表するものであり、経済産業研究所としての見解を示すものでは有りません。掲載している肩書や数値、固有名詞などは、原則として初掲載当時のものです。当サイトのコンテンツを転載される場合は、事前にご連絡ください。 "ページの先頭へ戻る

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