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ホームイベントBBLセミナー2003年度 中国台頭-日本は何をなすべきか 印刷 開催日 2003年5月9日 スピーカー 津上 俊哉 (RIETI上席研究員) モデレータ 深川 由起子 (RIETIファカルティフェロー) 議事録 日本に拡がる“wishful thinking”症候群最近「中国台頭」という本を出しました。私の専門は通商、貿易など経済のことなのですが、そこからとめどなく脱線していく本でして、本日も政治外交の話までしていきたいと思っています。この本を書いた最大の動機は、2年前に突如沸騰した「中国脅威論」に呆然としたからです。あの時の議論は「見たいものだけ見て、見たくないものは見ない」という“wishful thinking”、現実逃避の心理の表れだと思いました。当時よくいわれていたのは、「賃金が低すぎる」「為替レートが不当操作されている」ということですが、振り返ってみれば20年前米国との経済摩擦の時も、米国は同じようにいっていました。日本では「安くて良い物をつくって、何が悪いんだ」と反論していたのですが、その反論をしていた人達が、今中国にそういうことをいっているのです。「中国は低賃金でデフレを輸出している」というのですが、昔の日本も同じようにして経済的地位を高めていったのです。また、人民元レートは私も安すぎるとは思いますが、「不当」操作かというと、そんなことはありません。2001年より前の10年間位は、日本の産業空洞化論は「規制緩和、高コスト是正」がテーマで、原因は日本自身にあるのだという意識がありました。中国というライバルの成長に危機感をもつのは、ごく当たり前ですが、その危機感の矛先は自らに向けるべきです。現実逃避で損をするのは自分自身であり、苦しくとも現実を直視しないと、正しい処方箋が得られるはずがありません。昨年もう1つ、情けなくて腹が立ったのは、道路公団の改革論議です。私が思うに、この問題の根本は「過小資本、過剰債務」という公団の財務構造です。世界の有料道路事業を見ますと、普通、資金の3分の1は利子のつかない出資金で賄っているのです。しかし日本の道路公団はその比率が10%ありません。その結果としての過剰債務が高い道路料金の原因です。もちろん原因はそれだけではありませんが、まずそこを直さないと、問題の解決にはならないと思うのです。実はこの「過小資本、過剰債務」という問題は、中国の国有企業とそっくりなのです。中国は過小資本がそのような問題を招いたという反省にたって、自己資本の充実とか、過剰債務を株式変換の形で処理するとか、そういう方策にでています。中国の方がよっぽど、問題をしっかり見ています。 間違いだらけの中国経済論「大赤字の対中貿易、そのせいで産業空洞化」というのが世に流布した見方です。しかし、これは日本の通関統計のしくみによるところが大きいのです。図 間違いだらけの中国経済論昨年の数字を見ますと、確かに220億ドルの二国間赤字です。これは日本が抱える二国間赤字で最大のものです。これだけみると対中貿易は損ばかり、と見えますが、対香港を見ますと240億ドルの黒字です。人口700万人しかいない香港を相手に、どうしてこんなに黒字なのかといいますと、輸入に関しては入ってくる荷物の原産地を確認し、香港から入ってきても大陸原産なら、中国からの輸入という計算にするからです。一方香港に輸出されるものも大方は中国に再輸出されるでしょうが、日本の税関では転売先までわからないので、「香港向け輸出」と計算します。そういうアンバランスさに加えて、日本と韓国、日本と台湾の関係を見ると、日本の方が恒常的に黒字です。そしてこの韓国及び台湾が対中国貿易ではみんな相当な黒字です。これを「日本は中国に対して間接貿易をしている」と見ることができます。これらを併せて考えると、対中貿易は決して大赤字ではないと思います。現に、昨年あたりから対中輸出が大幅に伸びています。「中国に投資しても儲からない、仮に儲かっても送金させてもらえない」という俗説もあります。しかし、日中投資促進機構というところの2002年アンケート調査では、進出企業の8割以上が黒字、3割近くが経常利益率9%以上という回答でした。一方、確かに大赤字の会社もありますが、決して「投資しても儲からない」という状況ではない、と思います。「利益が出ても送金させてもらえない」ということもありません。確かに送金手続きに関して、遅い、手続きがよくわからない、不透明など、いろいろ不満は寄せられます。でも「させてもらえない」という不満はほとんど聞いたことがありません。唯一例外は、過去に法令違反をして中国当局ににらまれてブラックリストに載ってしまった場合です。しかし、お金が日本に返ってきてないというのは事実です。理由は2つあります。1つめは儲かっている会社はたいてい、現地で追加投資を予定していますから、投資資金としてキャッシュフローを手許に留保しています。2つめは、中小企業などがそうだと思うのですが、日本は法人税が高すぎるので税金の安い香港などに留保している、ということです。要するに「節税」という日本企業側の理由で、送金しないのです。 等身大の中国を見よう中国は非常に多様な国で、全体がわかりにくいのですが、中国には「強み」もあるし、「弱み」もあります。最大の「強み」は何か、といいますと、人材です。特にポスト文革の世代、35~45歳の人達は昔の貧乏を知り、かつ猛勉強もした人達です。この人達のバイタリティは大変なものがあります。これが今の中国を支えていると思います。では、「弱み」について4つ挙げます。(1)過重な潜在的財政負担。不良債権処理と年金債務があります。これから、多くの人達に年金を払わないといけなくなるのですが、年金の積み立てがありません。この2つの潜在債務を加えると、国家債務比率は100%を超えるでしょう。日本は140%に近づいていますから、人のことは言えませんが、少しでも長く、高く成長を維持して、懐を拡げ、その中で返していくしかないという状況です。(2)失業問題。20歳位の求職者は1歳当たり約1200万人います、7%成長すると約800万人の新規雇用が生まれますが、そこで既に400万人足りません。しかも今までの国有企業からのリストラなどで、失業者が数百万人います。後でも触れますが、これから農村から都市に農民を移さないといけないという事情もあります。このように、全体として労働需給は全くバランスがとれていません。2020年になったら、みんながそこそこ暮らせるように、というのが現政権のスローガンですが、むしろこれからいよいよ前途多難です。(3)人口高齢化。人口抑制のために「1人っ子政策」をしたわけですが、2015年を過ぎると求職者数は減ってきますが、うってかわって急激な高齢化が来ます。そうすると日本の少子高齢化で心配されていることと同じで、潜在成長率は低下し、貿易収支黒字は縮小します。ですから、いま日の出の勢いの中国経済も2010年代を過ぎると、だいぶ様子が違ってくると思います。(4)見通しの立たない農村・農民問題。中国の農業は競争力がありそうに見えますが、麦・大豆・トウモロコシなど基幹農業の競争力が非常に低い。ネギ・シイタケ紛争で垣間見たように、沿海の条件のいいところでやっている農業は大変な競争力ですが、全体としては過去に農民所得を上げるために無理な価格支持をやったせいで、農産物価格は国際相場の何割高という内外価格差があります。WTO加盟に伴う市場開放により、農産物の価格は下がり、悪い条件で耕作している農民は食べていけなくなり、その人達を都市に移動させなければなりません。おそらく億単位の数になるでしょう。 日本の進路:アジア経済統合次に、では台頭する中国を前に、今後日本は如何に生きていくべきか? について話します。いま、東アジアでFTAがブームになっています。日本も従来のWTO至上主義から脱して、シンガポールとFTAを妥結しましたし、タイ、フィリピン、マレーシアとも交渉を開始しています。しかし、中国とアセアンとのFTA交渉はもっと急展開しています。02年11月「中・アセアン包括的経済協力枠組み協定」に署名済みで、今年の7月から実施段階に入ります。これを見て、日本では「アジアでのけ者にされるのではないか」という不安まで出ています。しかし、中国のために弁護しておきますと、中国に「のけ者にされるかも知れない」という不安を最初に与えたのは東アジアFTAブームに火を付けた日本です。中国は不安に思って、必死に追い上げたら、東南アジアであっという間に日本を追い越してしまったというところです。この、中・アセアンFTAが日本に与える影響ですが、かつてメキシコがNAFTAやEUとのFTAを結んだ後、在メキシコ日系企業で起きたことが、アジアでも起こると思います。日本企業は中国、アセアンを問わず当地の組立工場に送る部品を日本から輸出することが困難になり、ますます「産業空洞化」が進みます。それが嫌なら日本もFTAを結べばいいだけの話です。いま、日本はそういう国家としての選択に直面しています。では、アセアンとFTAを結べば、それで安心かというと、もし日中間で締結できなければ、日中ともに損失を被ると思います。アセアンはどちらともFTAが結べて一番得をしますが、そういう「漁夫の利」の立場になると、アセアン側にモラルハザード、たとえば約束した市場開放を十分しないとか、そういう緩みも発生すると思います。三者間のゲームはやはり三辺均等の緊張感が必要です。もし日中間でFTAを締結すれば、中国の方が高関税ですから、理論的には日本の利益が大きいのですが、「そうは思えない」というのが、今の日本人の心理でしょう。それはともかく、今すぐ締結するのは、確かに双方とも政治コストが大きくて無理でしょう。日本の農業、中国の自動車など、どちらも立ち行かなくなります。しかし私は今すぐは無理でも、「将来においては日中もFTAを締結する」という長期的コミットメントを作り出せないかと思っています。なぜかといいますと、中国のことわざに「1つの山に2匹の虎は共存できない」というのがあるのですが、日中が排他的勢力圏作りを企図すると、東アジア全体が双方の板挟みになり、地域全体の経済の停滞を招くと思うからです。日中が将来どうするのが見えないと、他の国にとって「不本意な形で日中の一方に与してしまう」というリスクが高まります。そういう不透明さはアジアのFTA作りを阻害するでしょう。さて、制度的な日中FTAは今すぐには締結できないでしょう。しかし次に、そうだとしても、技術革新とインフラ整備によるコストダウンで否応なしに経済統合は進んでいることを忘れてはいけないと思います。このような事実上の統合は止められません。止められない統合が進み、工場移転のようなデメリットの発生も続く中、事実上の統合から吸収可能なメリットを最大限吸収することは日本の死活問題だと思うのです。では、何をなすべきかというと、まず日本の「強み」である知財権保護のために自助努力するべきです。もう1つは、従来「死角」となっていたような領域、たとえばアジアからの外国投資の誘致、観光客の誘致などに力を入れるべきです。外国投資について、日本人はどうも対象を欧米企業と考えがちですが、もっとアジアの企業に注目すべきです。また観光は、もっと中国から客を呼びたいところですが、現在の入国管理政策を改革しなければ不可能です。すでに九州などの観光地では、アジアからの観光客はゴールデンマーケットといわれているのですが、そのマーケットが拡がらない原因は国内にあるのです。 日中ビジネスで注目される最近の動き最近日中ビジネスで注目されている動きがあります。1つは、中国人元留学生による、「起業」の動きです。今年の3月時点で3社が上場しています。予備軍がまだまだいますので、こういう人達が日本に雇用と税収の場を提供してくれることは慶賀すべきことです。もう1つは、企業買収の形による対日投資です。やや感情的に微妙な問題を含みますが、前途が暗い日本企業が中国(アジア)企業に買収されて再生を果たせるのなら、日本にとって大きなメリットです。日本の大企業からノンコア事業だからというので切り捨てられようとしている事業に対し、アジアの企業が価値を見出し、買収をしたいというニーズは実は相当高いのです。今は未だあまり実現していませんが、こういう投資を吸収していくことが大事だと思うのです。2001年に倒産した印刷機メーカーの例では、上海の企業による買収で再出発し、解雇されていた従業員を呼び戻してくれて、ハッピーな結末でした。 日本によるメリット吸収を妨げるものでは、このようなメリット吸収を妨げるものは何か。最大の障害は、実は「日本人の心理」ではないかと思うわけです。アジアを格下としか見られない優越意識です。中国企業に買収されたり、中国人社長の下で働く、というのは、ほとんどの日本人にとって抵抗があるでしょう。でも、80年代、トヨタやホンダの工場を懸命に誘致した欧米諸国の従業員達も、東洋人の下で働くことに抵抗があったのではないでしょうか。それでも気持の整理をつけて、三顧の礼をとったわけです。ところで、私の本は中国台頭を前に立ちすくむ日本に対する危機感がたいへん露わですが、これに対して、先日思いもよらないコメントをもらいました。それは、「そういう危機感は日本人全員が持っている訳ではない。エリートを自認している大企業、官庁の大卒男子の人達だけではないですか?」というものです。たとえば、若い女性の中には、中国をキャリアアップの手段と位置づけている人達が大勢います。OLを辞めて私費で中国留学し、中国企業で職を持ちノウハウを蓄えて、やがては日中間ビジネスで会社を起こそう、といった夢を持って中国で働いている女性が実はたくさんいるのです。これに対して、大企業や官庁にいる大卒男子のエリート集団は濃厚な「共同体」意識をもっていて、現状がいいと思っている。そのせいで現状に変化をもたらし、共同体の安寧を脅かしそうな中国に対して、不安感を持っているのではないかという訳です。思いも寄らない指摘でしたが、それで1つナゾが解けた気がしました。総理府世論調査では、中国に親しみを感じる人は、90年代に少し下がったのですが、今でも45%にものぼります。しかし、私の周囲で計ればたぶん10%位しかいないでしょう。その自分の感覚から「45%は高すぎる、間違いではないか?」と思ってきたのですが、中国に不安を感じている日本人は、ひょっとしたら少数派なのかも知れません。 中華思想とは何か以下、専門外ですが、少し政治外交関係にかかわる話をします。日本人が中国を論ずる時に、必ずでてくるキーワードに「中華思想」というのがあります。何でもかんでも「中国は中華思想だから…」と言うのですが、この言葉、中国人自身にはピンとこないのです。確かに「中華思想」と呼べるものはあります。昔で言えば、清朝の「天朝大国」思想がそうです。しかし、「そのせいで阿片戦争後、痛恨の150年間を過ごした…」というのが現代中国人のこの考えに対する感想です。現代にも中華思想はあります。「ノーと言える中国」という本に表されているようなものです。しかし、良質な中国人は、これも「過去に負ったトラウマの裏返しとしての傲慢、排外主義、現実逃避の産物」といった風に評価しています。日本人が想定する「中華思想」は、少なくともいまの中国の知的主流の人々から支持されていません。何故か。改革開放の成功により、かなり自信を持てるようになってきましたので、謙虚な態度もとれるようになったのではと思います。翻って、日本の課題は、「国際関係」観をタテ型からヨコ型に変えることです。ナンバー2意識(アメリカには敵わないが、中国よりはずっと上)から抜け出て、中国とも対等にモノの言い合える関係にならないといけません。そうでないと中国がさらに台頭した後には、中国の顔色を窺い、モノが言えない人になってしまいます。 中国の「反日感情」について日中国交回復は毛沢東のソ連対抗のための戦略的決定であって、まだ戦争の記憶が生々しい庶民にはついていけないものでした。その時表明できなかったものが80年代政治の自由化に伴い、だんだん出てきた面があると思います。「反日感情」といっても、彼らは日本人自体が嫌いな訳ではありません。向こうで暮らしてみれば、すぐわかります。ただ、日本の肩をもつのは社会的なタブーなのです。しかし、最近はここにも変化が見られます。かつては、歴史問題で中国人が日本を擁護するようなことを言うなんて考えられなかったのに、あえてそういうことを言う人が出てきました。なぜかというと、改革開放の成功に伴う「心の傷」の癒しとともに、特に若い人に見られる行き過ぎた「民族主義」は中国に利益をもたらさないという警戒感が生まれてきたからだと思います。人民日報評論員の馬立誠さんは私の友人ですが、「今の日中関係は見直すべきだ、歴史問題はもうとりあげるべきではない」という趣旨の論文を発表しました。これを知ったとき、私は彼の身を本当に案じました。これだけタブーに挑戦すれば、タダでは済まないだろうと思ったのです。しかし、彼は「インターネットではかなりたたかれた」そうですが、同時に「良くぞ言ってくれた」と激励してくれる人も沢山いたそうです。彼の発言をきっかけに、そのようなことを言う人達はさらにおこされています。では、今後の日中関係は明るいかというと、そう簡単ではありません。今度は日本人が「失われた10年」で心の傷を負ってしまいました。80年代は経済的にナンバーワンだったのが、その地位を失うとともに、「民族の誇り」に敏感になってきているようです。国民感情としては極東軍事裁判への割り切れない思いがあるでしょう。私と同世代の人間は、つい数十年前の日本の歴史について、知らないことがずいぶんあるのではないでしょうか。こういうことにも目をそむけずに受け止めた上で、先代がやり残した歴史問題について、日本は今後どうしたらいいかを考えることが、現役の私たちの責任ではないかと思います。日本が戦争で悪いことをしたのは否定しようがないと思いますが、極東軍事裁判のように日本が100%悪という見方に対しては、当時「それなりの大義名分も言い分もあった」ことを主張してもいいと思います。ただ、それと同時に「誤り、身勝手もあった」ことを認める、そういうバランスが必要ではないでしょうか。最後にまとめます。 日中関係は、経済的にお互いに得ができるWin & Win関係を実現することが大事です。そのために今後、日本側のアジアを見下してきた「意識」を調整して、アジアからメリットを吸収できるようにする努力をすることが必要です。政治的にも、日中両国が「競争と協調の関係」に向かう努力が必要です。日中関係が荒れるたびに、東アジアの将来は暗い…とため息をつくアジア人が周囲に大勢います。我々は日中関係が東アジア全体に及ぼす影響ということも、もっと考えるべきだと思います。総じて、民族も国家も、連綿と引き継がれていく存在です。現役世代だけで「使い果たして」いいものではありません。後代に少しでもよりよい日本を残す、これが現役世代の責任です。まだ生まれぬ後世日本人への責任も感じて、苦しくとも、現実から逃げないで努力をする、そういう気持ちがいま必要だと思っています。 質疑応答Q:今中国の発展を担っている人達は、英語を流ちょうにしゃべり、アメリカ人のような発想をする中国人なのでしょうか。それとも中国資本主義という第3のモデルができつつあるのでしょうか。 A:英語は流ちょうにしゃべりますが、必ずしもアメリカ派とはいえないと思います。むしろ、この点は日本、この点はヨーロッパと、海外から優れたものを吸収することにものすごく貪欲です。中国資本主義のモデルがはっきりするには、もう少し時間が必要でしょう。少なくとも日本流を目指してはいないといえます。 Q:2つあるのですが、1つは、中国に対して地勢的なアプローチを強化したらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。九州は中国に近いですし、沖縄と台湾、上海など、どうでしょうか。もう1つは歴史教科書の問題ですが、お互いに内容が違っているとよくないので、中国と内容のすりあわせをしたらどうかと思うのですが。 A:1つめの質問に関しては、自治体のレベルでどんどんやったらいいと思います。何でも国が決めるという時代はもう終わっています。 2つめの歴史教科書の問題については、中国の教科書は中国国内でも批判があり、政治的プロパガンダといわれています。教科書はその国ごとの特色があり、同じものを使うことはできないと思いますが、行き過ぎの表現はお互いのために指摘できるようになるといいと思います。ただ、今は敏感な問題であって、そのような試みが軌道にのってはいません。これを前進させるのは、やはり現世代のすべきことです。 Q:中国の長期的な政治的安定性と経済高度成長の可能性について、どう思われますか。 A:中国人は従順な日本人に比べ、はるかに文句を言います。経済が豊かなら政治には口出ししないという中国人は少数派かも知れません。ではなぜ共産党独裁が続いているのかというと、中国は大きすぎるので治めにくく、分裂、混乱のリスクがあり、歴史的に苦労しているので、多少我慢して安定が損なわれないようにしているのではないかと思います。ただし、経済レベルが上がれば、政治意識も上がるので今のままでは絶対済まないとは思います。SARSでの情報隠しは大きな問題になりました。しかし、昔なら責任を特定の個人に全部かぶせて終わり、だったのが、今回は共産党の責任を認めました。中国もだんだん変わってくると思います。 経済面では、今は内陸からの安い労働力があるから、高度成長でもインフレにならないわけです。しかし2010年代になると様子が変わってくると思います。都市への人口移動は過去10年でかなり増え、今や37%です。あと10年すれば都市人口の方が、農村人口より多くなるでしょう。安い労働力は永遠には続きません。 Q:質問は2つあるのですが、1つは中国の農業問題解決法について、もう1つは日本企業のリスク分散についてどう思われるか、お聞きしたいです。 A:農業に関しては、まず農家に対する保障を生産直結型ではなく、所得保障型に改めることです。ヨーロッパもそうしています。今はまだその前段階です。条件の悪い所で農業をしている人達に対して、生産量に関わらず一定の所得を保障し、市場開放しても打撃を受けないように、他方、条件のいい所はどんどん開放して、自由競争するといいです。 リスク分散に関しては、今回のSARSの問題が「保険」の必要性をよく示したと思います。コストのみにとらわれない進出先の分散が必要で、いざという時に一番柔軟に対応してくれたのが国内の会社だった、という例もあります。そのような生産におけるポートフォリオを日本企業はもっと高めていくのでは、と思います。 Q:SARSの問題で、日本の中国に対する姿勢とアメリカの中国に対する姿勢を比べて感じたのは、アメリカが早い段階で協力関係を結んだのに対し、日本の対応は遅く、しかも共同で研究しましょうという風にはなりません。お互いにとって何がベストかということを考えて接することができるよう、特に官のレベルでそうなるのが大事ではと思います。 馬さんの論文が出てきて、中国では日本との歴史問題を見直そうという動きがあるのに対し、日本側の歴史問題の整理は遅れていると思うのですが、それについて何かご意見はありますでしょうか。 A:SARSの問題に限らず、日本は海外との問題で、自国のことにしか意識がいかない、世界での役割まで頭が回らないという傾向があります。それを自覚して直していく努力が必要です。 歴史問題に関しては、なぜ靖国神社に参拝することに対して少なからぬ日本人の支持があるのか、それをきちんと説明し、感情的には受け入れられなくても、理屈でだけはわかってもらう、そういう努力をしないといけないと思います。馬さんのような論文が出てきたのをいいことに、うやむやにしないでほしいです。また、歴史見直し論に対し、日本からも良い反応をしていけたらいいと思います。 この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 終了したセミナーシリーズ 情報発信 ニュースレター 更新情報RSS配信 Facebook X YouTube 研究テーマ プログラム (2024-2028年度) プログラム (2020-2023年度) プログラム 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